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土蜘蛛紀行 筑後編
其之壱、山門─ホ、女山神籠石(下)
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狭山田女:一気に麓まで降りてきたよ。これが水門の案内か。
大山田女:女山には全部で四つの水門があるそうですが、原型を留めているのは、二つだけのようですね。その一つ、長谷水門はこの奥です。さあ、早速見てみましょう。

狭山田女:わあっ、凄い!本当に谷間に石を積んで水門にしてあるんだ!
大山田女:谷を横切って列石を築く場合、どうしても谷を流れる水を抜く必要がありますからね。そのために、このような水門が必要になる訳です。

狭山田女:水を抜かないと、内側に水が溜まっちゃうし、雨が降ったら石が崩れちゃうもんね。それにしても、この水門って、山頂の石の壁からずっとつながって来てるんでしょう。ここまでして途切れないように壁を作るってのは、確かに山城って感じがする。聖地ってだけじゃ、ここまではやらないよね。

大山田女:そうですね。ここまで高度な設備を有していて、軍事目的が皆無と言うのも、また不自然ですからね。
狭山田女:おおお~、奥まで水路が続いてるぅ~。こりゃあ凄いや!そうか、沢を伝って山に登れないようにしてるんだね。こんな風にしちゃったら、一人通るのも難しそうだもんね。

大山田女:もう一つの原型を留めている水門・粥餅谷水門は、この鳥居の奥です。
狭山田女:おや、神社の境内なんだ。
大山田女:右の石段を登って行くと神社ですが、水門は左の奥です。

狭山田女:おっ、こっちはしっかり水が流れてる沢の上に建ってる。まさに水門だね。でも谷の規模がさっきよりはちょっと小さいかな。
大山田女:おそらく昔はもっと深い谷だったのでしょう。奥に家屋もありますから、後世、整地したのではないですかね。

狭山田女:なるほど。でもその分、こうやって上から見られるね。さっきのところは、ちょっと水門の上に立つのは難しかったからなあ。
大山田女:ええ、先程の水門のように、容易に周り込めないというのが、本来の姿でしょうけどね。軍事目的であるならば。

狭山田女:そりゃあそうだろうね。じゃないとわざわざ苦労して谷を塞ぐ意味がないからね。
大山田女:ええ。こちらに案内がありますね、少々劣化していますが……。この粥餅谷水門は、横尾谷水門とも呼ばれています。

狭山田女:いやあでも、こうやって見ると、やっぱりこっちの水門も凄いね。
大山田女:なかなか高度な技術ですよね。しかも、沢の上という、非常に崩れやすい場所に作られているにも関わらず、千数百年の時を経ても、こうして形を保っているのですから。

狭山田女:こっちの水路は、ジャブジャブ水が流れ出してるね。水門としての役割も、まだしっかり果たしてるんだ。凄いなあ。
大山田女:長い間に、洪水や土砂崩れなどもあったはずですからね。神籠石が、そうした災害から麓の集落を守ってきたという側面もあるのでしょうが……。

狭山田女:神社にもお参りしておこうか。ここも何か神籠石と関係あるのかな?
大山田女:女山日子(ぞやまひこ)神社という神社ですね。この神社が建ったのは明治の頃とかなり新しいようですが、水門のずっと奥の女山の山の中に、元となった古い神社があります。水門の手前にあった鳥居は、奥の神社のものでもある、というよりそちらが主体ですかね。

狭山田女:へええ、山の中に……やっぱり女山は古くから聖地だったのかな。
大山田女:その神社の傍らには古代の磐座である巨石もあります。そして、縄文時代から中世へと続く遺跡まで見つかっているのです。これは女山がはるか太古からずっと聖地であり続けたということですね。

狭山田女:えっ!磐座に遺跡まで!じゃあ奥の神社にもお参りしようよ。
大山田女:実は作者の大宮司が女山を訪れたときには、そこまで詳しい事を知らなかったので、水門より奥には行っていないのです。ですから残念ながら、私達もそこを紹介することは出来ません。

狭山田女:ありゃりゃ、そりゃ残念……。ちなみに、どんな神様を祭っているの。
大山田女:福岡県内にある、有名な修験道の聖地・英彦山(ひこさん)の神を祭っています。神社名の「日子」もそれによるものだそうです。奥の神社の名前も「日子神社」ですからね。
狭山田女:「ヒコ」っていうくらいだから、田油津媛さんのお兄さん、夏羽さんと関係ないかなと思ったんだけど、さすがにそんなことはないか。まあ、とりあえず女山っていうのが凄いところだってのはよく分かったよ。田油津媛さんにも深い関係がありそうだしね。


大きな地図で見る
大山田女:山門という土地には、「古代には何かあったのではないか」と思わせるだけのものがいくつもありますね。次は、これまで見て来たものとはまた違った形の「古代の遺産」を見てみましょう。女山神籠石への行き方は、左の地図を参照して下さい。女山へは、麓から遊歩道を歩いて登って行く事もできますし、展望台の近くまで車で行く事もできます。水門は遊歩道とは全く別の場所になります。詳しくは掲載した案内板のマップを参照するか、みやま市役所等へお尋ね下さい。



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